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弓兵小話





 戦場にて。ウォルトが徒歩で駆け回っている。

スー
「ウォルト、後方からソシアルナイトの部隊が迫っているわ。後ろに乗って! そのほうが早く移動できるから」

ウォルト
「スーさん」

スー
「振り落とされないように、しっかりつかまっていて」

ウォルト
「ありがとう!」

スー
「お礼は後でいいわ」

 馬に乗った敵兵が剣を構えて接近してくる。

ウォルト
「危ない!」

 ウォルト、弓を引く。放った矢が命中し、敵兵は落馬する。

スー
「……馬上から弓は使えないって言っていなかった?」

ウォルト
「とにかく無我夢中で……当たったのが自分でも信じられないよ」

スー
「ふふ」

ウォルト
「?」

スー
「なんでもない」

ウォルト
「??」

 はるか遠くで、自軍の勝利を告げるのろしが上がる。ふたりは、スーの馬に乗って宿営地へ向かう。

ウォルト(青空を見上げながら)
「戦場でこんなこと思うなんて、不謹慎だとは思うけど……馬に乗るって、すごく気持ちいいんだね」

スー
「ウォルト。この戦争が終わったら、あなたに馬の乗り方を教えたいわ」

ウォルト
「どうして戦争が終わってからなの?」

スー(微笑んで)
「草原を馬で駆け抜けるのは、戦場を駆けるより、ずっと気持ちがいいから」




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