表紙



神僕小話





セシリア
「あら」

サウル
「おや、これはセシリアさん。いつお会いしてもお美しい。あなたの美しさに、この神の僕の心が嵐の日の森の木々の如く打ち震えているのがおわかりになりますか」

セシリア
「あなたもお変わりなく。……左の頬が赤いようだけど、どうしたの?」

サウル
「これですか。つい先ほど、子猫に噛まれてしまいました」

セシリア
「相変わらずね」

サウル
「子猫の牙というものは、可愛らしくみえてあれで相当鋭いものですね。甘噛みならば、こちらとしても手放しで喜ぶのですが」

セシリア
「あなたが優しくしないからでしょう?」

サウル
「これは心外な」

セシリア
「あなたは親切だけれど、優しくはないわ」

サウル
「……職業病ですので」




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