誓いのことば
あるとき、戦場にむかう竜騎士は、深い憂いをこめたまなざしで自分を案じる姫君に誓いをたてた。
「そんな顔をしないでくれ。たとえこの命にかえても、きみを守ると誓うよ。必ず」
それは、騎士の誠実さから自然とでたことばであって、ひとかけらの嘘もなかった。しかし、姫君はおだやかな笑みと強い光をこめて、騎士の瞳を見あげた。
「男のかたは誓いをたてるのがお好きですね。でも」
すんなりとした指を騎士の手に重ねた。
「わたしがほんとうに幸いだとおもうのは、激しい戦いのあと、見慣れた飛竜の影が、主とともにせんと変わらず大空をゆったりと旋回しているさまをみつけるときなのだと、どうか、どうか心にとどめておいてください」
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